<Liver trial>
「そ、その人」
「ダイニングで会った奴だよな」
宍戸と鳳が跡部の後ろに立っている女性を見て目を見開いた。
「この人?」
跡部は一歩後ずさりし奥へと追い遣られた。
只ならぬ空気をその女性が身体中に纏っているのだ。
その女性は達を横目に跡部の方へと一歩一歩近付く。
跡部が奥の客間付近に近付いた時部屋の扉が開いた。
扉は外開き。
丁度扉の所為で跡部とその女性は影となってしまった。
「跡部ッ」
扉を閉めて跡部の元へと向かう。
跡部を見ていた女性は振返って笑った。
その笑顔は凍て付く様な冷たい瞳をしていた。
そうして女性は皆が見ている目の前で姿を消した。
残された等は瞼に焼き付いて放れない女性の冷たい眼差しから逃れられずに立ち竦んでいた。
−…お母さん−
「え?」
−今の私のお母さん…−
栞は一人動かずにその光景の全てを後ろから見ていた。
栞の母親は栞に気付く事無く消えていった。
「そう言えば雰囲気が少し違いましたよね」
「あぁ、確かもう少し柔らかい感じの…」
宍戸と鳳は先程の空気を不審に思っていた。
ダイニングで出会った時とは全く違う空気を纏っていたと言う。
全員その女性の事は気になって仕方が無かったが、消えてしまった以上何の手掛りも無い。
兎に角早く栞の短冊を見付ける事に専念する事になった。
「ゴメンね」
奥の客間を再び念入りに調べているとふとが口を開いた。
「何言うとんの?」
ベッドの横に膝をついて下を向いた。
「だってあたしが…」
最初に肝試しをしようと誘った事に対しての責任感が今更になって重く圧し掛かって来たらしい。
何時もと違うの態度に皆が焦った。
「先輩の所為じゃありませんよ」
笑顔を向けて鳳がの顔を覗き込む。
涙こそ流しては居なかったが眉を寄せて泣き出しそうな顔をしている。
「ま、仕方ねぇだろ」
「せやで」
「まぁな」
「ウス」
等とちょっとばかし青春モードに突入した。
−この部屋には無いみたい…−
先程よりも丁寧に時間を掛けて探したが変わった物は奥の客間にも客間にも見付かりはしなかった。
「次は…」
栞の部屋だった場所。
ドアノブに手を掛けたのは忍足で後ろを振返り全員が居る事を確認した。
「開けるで」
忍足の声に其々が頷く。
ドアノブを握る忍足の手に力が入りゆっくりと扉を開ける。
静かに開いた扉はギィーっと嫌な音を立てる。
その音は妙に響き恐怖を仰ぐ。
部屋を覗き込むと明るく華やかな部屋へと変わっていた。
「……何コレ」
少しは栞の物が残ってはいたがやはり埃塗れであった。
その部屋が何故かまるで今も誰かが暮らしているかの様に何処となく生活観がある。
−私が生きてた時と同じです…−
「え?」
−私が死ぬまで居たのと配置も何もかも総て……−
震え出す栞が可笑しいと判断しこの部屋から出様とする。
扉迄近付いて部屋の外へと出様とするが扉が開かない。
扉を開け様としている間に栞の顔は蒼白になって行く。
鍵等この部屋には付いていない。
それなのに部屋の扉は空かない。
−栞ちゃん悪い子なんだもの−
栞の部屋の窓の付近から声がした。
其方を向き警戒するとくすくす笑う声がする。
暗くて姿は見えない。
の横にいる栞は只震えるだけだった。
あー又短い。
何だか良い所で切ろうとすると短くなるわ…。
文章構成力が欲しいです、本気で。
さて一体何故あの客間は華やかになっていたのでしょうか。
何も考えておりません…(阿呆
これから考えます。
2005/08/03